中途採用面接の志望動機が「給料アップ」でも採用された人の話

私が面接官を手伝っていた時、印象に残った出来事がある。

その日は午前中に中途採用の面接があった。面接を受けにきた応募者は31歳、年収450万のエンジニアである。彼は過去に2回、転職をしており、もし我々が採用を行えば4社目、ということになる。

彼のスキルは特に低くもなく、高くもなくといったところで、年齢相応のスキルと言った感じだ。

本音を言えば、私が面接を手伝っていた会社は30前後のエンジニアが欲しかったので、彼の応募は有り難いものであった。

面接が始まり、役員の一人が質問をする。

「なぜ、転職を考えたのですか?」

通常であれば、ここで返ってくる回答は、「上流工程をやりたかったので…」であったり、「お客さんと直接話せる仕事がしたかった…」など、当り障りのない回答がほとんどだ。

しかし、彼は違った。開口一番、

「はい。もっと給料が欲しかったからです」

と言ったのだ。

通常であれば面接の際に志望動機を聞かれたらば

「カネの話は出来るだけしないように」

という指導がなされているだろう。